そもそも「創造的仕事を創造する社会」とは
前回の当コラム『#267 「創造的仕事」を創造する方法論をモデル化してみよう』で、社会発展の方向性の一つとして「創造的仕事を創造する社会になる」を例示しました。それにしても、それは、どのような在り様の社会なのでしょうか?
また、前回のコラムでは『「創造的仕事」を創造する方法論をモデル化するのは人間の仕事』と書きました。現時点では、この仕事はAI(人工知能)では実現できません。人間が、兎に角、頑張って成し遂げていかなければならない仕事なのです。
そこで、以下に、「創造的仕事の創造」の条件を列挙してみます。
- 「働きがいのある人間らしい仕事 “Decent works” 」を創造する
- 社会の趨勢を俯瞰し、多様化した需要を先取りし、隠された潜在機能を見つけ出して、未だ見えぬ新たなニーズにきめ細かく臨機応変に即座に対応していく仕事を創造する
- 「パラダイム・シフト」を起こし、それによって社会システムの変革を引き起こす、未だ知られざることを実現化していく仕事を創造する
- 自律的な協働の仕組みによって、個々人がそれぞれに思い描く “Quality of Work Life” を実現する仕事を創造する
ポイントは、日本の高度経済成長期のような大量生産・大量販売・大量消費の社会を実現する仕事のモデル化ではなく、その仕事を遂行する働き方にしても、既定の作業を正しく行う仕事をこなす労働のモデル化でもないということです。大量生産・大量販売・大量消費のビジネスモデルの定型的な繰り返し作業(人間にとっては辛い労働)こそ、AI(人工知能)やロボットに代替してもらって、人間はもっと自分らしい働き方のできる社会にならなければなりません。
創造的仕事を創造する仕事をモデル化する
前回の当コラム『#267 「創造的仕事」を創造する方法論をモデル化してみよう』では、社会の変革をもたらして新たな優位性を確立することのできる創造的仕事を創造する方法論のモデル化について示しました。しかし、それ以前に、「創造的仕事」について考えなければなりません。
端的に言えば、それは、社会変革を巻き起こす破壊的イノベーションを生み出していく仕事ということになります。「創造的仕事を創造する仕事をモデル化する」とは、さらに、「創造的仕事を創造する仕事」の方法論を考えるということ、および、そうした方法論に基づいた働き方をモデル化するということになります(かなりややこしいですが)。
しかし、「創造的仕事を創造する仕事をモデル化する」ことによって「創造的仕事」は多様に生み出されていきます。それこそが、社会変革をもたらして新たな優位性を確立し、社会に影響力を発揮することのできる組織能力につながっていきます。
目指すは「創造的仕事を創造して、AIでは実現できない創造性で、社会への影響力のある新たな優位性のある組織になる」
創造的仕事を創造して、AIでは実現できない創造性で、社会への影響力のある新たな優位性のある組織になることを目指しましょう。それが、閉塞した日本に活力を与え、新たな社会発展、経済発展につなげていく道筋なのです。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一