近代社会において企業は、事業を通して利益を得るべく、如何に組織の生産性を高めるかということに注力し、人間関係論や行動科学、組織行動論といった分野での研究成果に基づいて様々な施策を講じてきました。また、21世紀に入ってからは、資源ベース論やダイナミック・ケイパビリティ論など、新たな枠組みで組織能力を捉えて優位性を構築すべきであるという研究も進んできました。
そこで、こうした研究を踏まえて、当社では、これまでの「組織変革」に対して、OX “Organization Transformation” (オーガニゼーション・トランスフォーメーション)を提唱しています。
オーガニゼーション・トランスフォーメーションは、単に、労働生産性を高めるための組織変革ではなく、独自性があり競合他社が容易に模倣できない経済価値と持続可能な社会の発展につながる社会的価値を生み出す組織能力を構築し、社会に影響力を行使するための組織変革である。
1.OX “Organization Transformation” の3つの論点
ここでは以下に示す3つの論点から OX “Organization Transformation” について深掘りしていくことにします。
1.1. そもそも、 OX “Organization Transformation”とは何か?
下図はオーガニゼーション・トランスフォーメーションが目指す組織の理想像です。
この図示すようにオーガニゼーション・トランスフォーメーションは以下の4つの組織像を実現させていくことでもあります。
- 社会に対して影響力を発揮する組織になる( Influence )
- 稀有で独自の真似のできない社会的価値を創造する組織になる( Predominance )
- 自律し協調して協創する組織になる( Autonomy & Cocreation )
- 変化の兆しを捉えて機敏に行動するしなやかな組織になる( Agility & Resilient )
ICTを中心とした技術革新のスピードが速く、これまでの仕事が自動化され多くの人の仕事が奪われると危惧されています。その一方で、人口減少社会化が進展することによって人手不足問題が深刻化しています。新たな技術に対応できる人材を高い賃金で雇用し、職場内の従業員にもリスキリングやリカレントの教育を施してより高度な職に就けるようにしていこうという機運が高まっています。そこで、新たな価値を生み出す存在としての人に投資するという視点に立って「人的資本経営」が主張されるようになってきました。
「人的資本経営」は財務視点の言葉ですが、その意味することは、主体的に自律して働く能力と、組織内外の人たちと相互につながり相乗して価値を生み出していく協働する能力を持つ人への投資でもあり、また、上図にある組織を目指した「組織変革」への投資でもあります。
1.2. そもそも 、OX “Organization Transformation”と言うけれども何をしたら良いのか?
どんなに優秀な人がたくさんいても個々に動いていたのでは価値の創造にはつながりません。かつて、経営学者であるチェスター・バーナードバーナードは2人以上の組織が組織として成立するための条件(組織の3要素)を「共通の目的」「協働意欲」「コミュニケーション」であるとし、以降、それが定説となってきました。一方、最近ではパーパス経営に注目が集まっています。経営者の想いを反映した「企業が社会の中で存在する意義」が企業の中で働く一人ひとりに共有され、夫々の人の「生きる目的」と共鳴する(共感される)ことで働き甲斐が醸成されるという考え方です。
今日では、多様性や包摂性こそが希少性のある稀有な価値を創造しうるという考え方を背景として、意識と自我と様々な経験や知識を持った個々人の個性(アイデンティティ)が重視される働き方の実現が求められています。これは「個々人が主体的に自律して働く」ことを担保する仕組みでもあります。
一方、目的が共有されどんなに協働意欲が育まれていても、組織内には必ず意見や立場の違いから対立が生じます。そこで働く人たちのやる気を削ぎ、生産性を低下させる要因は圧倒的に「コンフリクト」です。これからの組織変革に求められる施策とは、この組織内に生じるコンフリクトのコントロールと抑制です(変革に対して生じる葛藤(コンフリクト))。当社ではそのための方策として「wise Communication」を提唱しています。
1.3. そもそも、 OX “Organization Transformation”よって何が変わるのか?
「トランスフォーメーション戦略の構想」で記しているように、VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の状況になった今日、企業は組織進化論で言うところの「VSRSメカニズム」に沿って進化していくことになります。
指示待ちで動く組織は動きが鈍く生産性も高まりません。当然のことながら、せっかく多様性や包摂性によって新たな価値を創造し得る組織になったとしても、指示した以上のことはできません。ここで示した「組織変革」によて、VUCAの時代に、一人ひとりが問題意識を持って経営環境の変化の兆しを捉え、内発し自律して行動ことで問題が共有され、協働し役割を分担しながら解決していくことができるようになります。
2. OX “Organization Transformation” 支援
当社が提供しますコンサルティングサービスは「トランスフォーメーション戦略の構想」です。service and proposalのページに示す様々なコンサルティンコンテンツやサービスプログラムによって、最終的には「人的資本経営」につながる「組織変革」を描き出すことを目指して参ります。