直観(ビジネスセンス)を共有する能力

  • 直観(ビジネスセンス)を共有する能力
    1. 製品市場/ビジネスモデル/プロセスに関する共通のビジネスセンスがあること。
    2. 発生した事象を多方向から感知し、多様な視点で捉えて認識するとこができること。
    3. なすべきことの共通のリストを定義できていること。
    4. 状況に応じて選択すべきことの共通の判断基準を定義できていること。
  • 前提となること
    1. ビジネスモデル、ビジネスエコシステム、エシックスに基づく行動指針、ガバナンスが定まっていること。

1.「直観(ビジネスセンス)」ことの位置づけと構図

『直観(ビジネスセンス)を共有する』は「ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” (真の意思疎通)」を実現するための「6つの共有 “Sestet Sharing Methods” 」の一つです。

「直観(ビジネスセンス)」は、感性や勘や個人的な経験ではなく、将来の社会を俯瞰し未来構想のための知の探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)と未来構想実現のための知の深化(来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)して得られたものでもあり、さらに、客観的な合理性、根元的な普遍性、倫理的な正当性から評価し、懐疑的に、また、内省して精査した結果として得られるものである

1.1.打つべき施策に対する意見の対立(対立点のデザイン)

 人にはそれぞれの思いや考えがあり、社会の問題を解決して社会貢献すると言っても、あるいは、長期的な視点から持続可能な収益拡大を図ると言っても、打つべき施策に対する意見の対立は必然的に生じます。そこで、多様性を重視して「真の意思疎通」を図るためには、まず、対立点をデザインする というプロセスを経ることが大事になります。上図の例では、業績悪化に直面した時の戦略立て直しにおける「既存事業の維持強化して競争の挽回を図る」と「社会や市場の変化に即して模倣・代替が難しい分野にビジネスモデルへの転換を図る」という競争戦略か資源ベースでの戦略をとるかの葛藤を例示しています。

1.2.対立点の解消

 どんなに議論を尽くしても対立点を解消することができないことがあります。「直観(ビジネスセンス)を共有するための真の意思疎通」となるためには、「私の問題認識はこうで、こうすれば解決できるはずで(仮説の設定)、そこにはこういう論拠がある(検証)」というやりとりが必要です。当社ではこのやりとりを『仮説と検証による議論』と呼んでいます。
 『仮説と検証による議論』はディベート(相手を打ち負かす討論)ではありません。多様性や社会的包摂が求められる今日においては、お互いの思考をリスペクトし受け容れることが大事であり、その上で、対立点を明確にして結論を出していく議論が求められています。そして、このために、人類の叡智が見出してきました「対立点を明確にして結論を出すための議論」の方法論を活用することにならります。

  • 結論づけずに、一旦、棚上げして対立点をリデザインして妥協点を探る(二項対立と脱構築)
  • 折衷案でもWin-Winでもなく、より普遍的に掘り下げて根本的に解決する(二律背反とアウフヘーベン)
  • 「Aでもあり¬Aでもある、より高い視点から全体を俯瞰して、他者を否定せず、本質的な論点で融和を図る(即非の論理)

2.ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” のために具備すべき組織の能力と施策のチェックポイント

  • 直観(ビジネスセンス)を共有する能力の基盤
    1. 企業の歴史に裏打ちされたビジネスモデルがある。
    2. 組織内で培われ認知されたビジネスの型がある。
    3. 組織内で浸透させていく周知されたプロセスがある。
    4. 経営と現場の間での双方向のエンゲージメントがビジネスモデルの基盤となっている。
    5. ビジネスモデルに沿って行動する信頼関係(暗黙の了解)が自然と身に着いている。
    6. ビジネスモデルは固定されたものではなく、経営環境の変化に応じて柔軟に作り変えていくものだという合意が経営と現場の間で形成されている。
  • 直観(ビジネスセンス)を共有するための施策
    1. 業界内外の動向を組織内、外部ステークホルダーと共有する
    2. 組織横断でビジネスセンスについて語るための共通の言葉を確立する。
    3. ビジネスセンスについてことあるごとに語る習慣を組織内で定着させる。
    4. ビジネスモデルについて経営と現場の間での双方向のエンゲージメントの型を規定する。
    5. ビジネスモデル、ビジネスセンスについての教育の場を設ける
    6. 組織横断でビジネスモデル、ビジネスセンスについてのナレッジマネジメントの仕組みを確立する
    7. ビジネスモデル、ビジネスセンスに即して現場での対応についてのフィードバックを行う
    8. ビジネスモデルについて外部のステークホルダーにも周知し認知を得る。
    9. 経営環境の変化に応じたビジネスモデルの改革について適宜、具体的なアクションプランを設定して準備段階から周知する。
    10. ビジネスモデル、ビジネスセンスに関するスキルに応じた評価制度をデザインし公正公平に評価する。

 

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