業務改革能力

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ここでは、業務改革能力について掘り下げ、変動要因として捉えていく。


業務改革能力を決定づける変動要因とその論点

効率を管理する感覚に疎い

  • “効率を管理する感覚に疎い”とは
    • “業務効率に対する文化”が育まれていない。
      • 業務効率に対する問題意識がない
      • データに基づく業務効率の管理ができていない
      • データを捉えるセンスがない
      • 業務効率に対するマネジメントが機能していない
      • 業務効率に対するマネジメントプロセスが整備されていない
      • 業務効率に対する業務プロセスが整備されていない
      • 現場作業者への業務効率に対する啓発がなされていない
      • 現場作業者が業務効率向上に向けた作業方法に習熟していない
    • “業務効率に対する文化”が育まれていないために、“業務効率向上に向けた様々な施策” が適切に打たれず放置されていることが“業務効率向上”を阻害する。
      • 工数がかかる作業が放置されている
      • 冗長な手順が野放しである
      • 動作が遅くなる要因を改善しない
      • 段取りが悪い要因を改善しない
      • ボトルネックへの集中を改善しない
      • 属人的作業の負荷分散を図らない
      • イリガルな処理が放置されている
  • “効率を管理する感覚に疎い” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “業務効率に対する文化が育まれていない”と、直接的には、個々の業務に品質のバラツキが生じ、全体としての効率が落ちてしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
    • “業務効率に対する文化を育む”ためには、“効率”に対する意識改革が必要であるが、日々の業務を通して身に付けていくことが何にも増して重要である。
      1. 所要とされる工数を削減する
      2. 余計なことを排除した作業手順を設計する
      3. 最小限の動作となるように動きを設計する
      4. 常に、スムーズに進むように段取りを設計する
      5. その時々で、ボトルネックの作業を捉えて負荷を分散する
      6. 属人化されている作業を分解して単純繰り返し作業を分担し、判断のいる作業や技能のいる作業を軽くする
      7. 頻度の高い特殊・特急処理、影響度の高い異常処理は予めプログラム化しておく
  • “効率を管理する感覚に疎い”理由
    • 現在の状況が安定して上手くいっているからと“品質向上に向けた様々な施策”が適切に打たれず放置されていることは屡々生じる。
    • 日々の業務をこなすことに負われて“品質向上に向けた様々な施策” が適切に打たれず放置されていることは屡々生じる。
    • 誰しも、“火中の栗を拾わない”、“出る杭は打たれる” でいることが、安定した生き方の様に思える。だから、“品質向上に向けた様々な施策” が適切に打たれないことに対して誰も手を出さない。


プロセス改革能力を向上させる強化要因

所要とされる工数を削減する

  • 何故、“常日頃から作業方法を分析して、所要とされる工数を削減する” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“工数がかかる作業が放置されている”ことをあげることができる。
    • 個々の業務に“工数がかかる”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
    • この「個々の業務に工数がかかる」という問題を改善するために、①標準時間の短縮、②一人ひとりの習熟度の向上を図る必要がある。
  • 如何に“常日頃から作業方法を分析して、所要とされる工数を削減する”を実施するのか
    • 個々の業務に“工数がかかる”ことを解決するには、動作の数と流れ簡素化することが必要である。
      • 余計なことを排除した作業手順を設計する
      • 最小限の動作となるように動きを設計する


余計なことを排除した作業手順を設計する

  • 何故、“余計なことを排除した作業手順を設計する” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“冗長な手順が野放しである”ことをあげることができる。
    • 個々の業務に“冗長な手順が野放しである”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
  • 如何に“余計なことを排除した作業手順を設計する”を実施するのか
    • この「余計なことを排除した作業手順を設計する」ためには、①作業の流れを分析する、②一緒にできる作業は一つに統合する、③アウトプットのない作業は廃止する。


最小限の動作となるように動きを設計する

  • 何故、“最小限の動作となるように動きを設計する” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“動作が遅くなる要因を改善しない”ことをあげることができる。
    • 人間の体内時計には個人差がある。体内時計は簡単に教えられるものではない。
    • 個々の業務の“動作が遅くなる要因を改善しない”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
  • 如何に“最小限の動作となるように動きを設計する”を実施するのか
    • この「最小限の動作となるように動きを設計する」ためには、①動作と動作間の流れを分析する、②一つ一つの動作を最短時間で行えるように手順を設計する、③動作に必要な移動距離を最短にする、④動作と動作の間の移動距離を災難にする。
    • 「最小限の動作となるように動きを設計する」ことと、個々の動作の速度を上げればよいということではない。個々の動作の速度を上げるためには“習熟”が必要であり、①理屈で理解した上で、②繰り返し作業をすることで“コツ”をつかむ必要がある。


常に、スムーズに進むように段取りを設計する

  • 何故、“常に、スムーズに進むように段取りを設計する” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“段取りが悪い要因を改善しない”ことをあげることができる。
    • 個々の業務の“段取りが悪い要因を改善しない”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
  • 如何に“常に、スムーズに進むように段取りを設計する”を実施するのか
    • プロセス改革を進める上では、「個々の業務に工数かかる工数」の最小化を行っただけでは不充分である。「個々の業務」をスムーズに進められるように“段取り”をする必要がある。この段取り自体も、工数がかからないように冗長な作業を無くして簡素化を図り、かつ、最小限の動作となるように動きを設計しなければならない。


その時々で、ボトルネックの作業を捉えて負荷を分散する

  • 何故、“その時々で、ボトルネックの作業を捉えて負荷を分散する” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“ボトルネックへの集中を改善しない”ことをあげることができる。
    • “ボトルネックへの集中を改善しない”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
    • “ボトルネックとなる作業”で滞留すると全体としての効率を低下させる。特に、ボトルネックとなる作業に負荷がかかっていると、そのリスクは大きい。
  • 如何に“その時々で、ボトルネックの作業を捉えて負荷を分散する”を実施するのか
    • “ボトルネックとなる作業に負荷がかかる”ことを解決するには、まず、その業務全体をいくつかの“ひとまとまりの業務”に小分けし、そのひとまとまりの業務について、①工数がかからないように冗長な作業を無くして簡素化を図り、②最小限の動作となるように動きを設計する必要がある。また、③ひとまとまりの業務間の流れを分析し最短時間でつながるようにする、④こうした作業の段取りの効率を図ることもしなかえればならない。
    • ボトルネックは、状況に応じて様々に発生することを考慮し、小分けする業務の独立性を確保しておくことが必要である。即ち、前後の業務とのインターフェースを標準化しておくこと、相互に機能を依存させないこと等。


属人化されている作業を分解して単純繰り返し作業を分担し、判断のいる作業や技能のいる作業を軽くする

  • 何故、“属人化されている作業を分解して単純繰り返し作業を分担し、判断のいる作業や技能のいる作業を軽くする” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“属人的作業の負荷分散を図らない”ことをあげることができる。
    • 特定の作業の負荷分散を図る阻害要因として、その作業が“属人化されている”(ある個人の能力や知識、経験と習熟度)ことを上げることができる。
  • 如何に“属人化されている作業を分解して単純繰り返し作業を分担し、判断のいる作業や技能のいる作業を軽くする”を実施するのか
    • この「特定の作業が属人化」しているという問題を改善するためには、その業務全体を「単純繰り返し作業」「判断のいる作業」「技能のいる作業」に分割し、①「単純繰り返し作業」を負荷のかからない部署の担当者に分担する、②「判断のいる作業」はマネージャーが行う、③「技能のいる作業」はその作業への能力や知識、経験と習熟度がある人に分担させるようにする。
    • 「単純繰り返し作業」について、①工数がかからないように冗長な作業を無くして簡素化を図り、②最小限の動作となるように動きを設計する必要がある。また、③ひとまとまりの業務間の流れを分析し最短時間でつながるようにする、④こうした作業の段取りの効率を図ることもしなかえればならない。


頻度の高い特殊・特急処理、影響度の高い異常処理は予めプログラム化しておく

  • 何故、“頻度の高い特殊・特急処理、影響度の高い異常処理は予めプログラム化しておく” であるのか
    • “業務改革能力が不足している”ことの要因として、“イリガルな処理が放置されている”ことをあげることができる。
    • “イリガルな処理が放置されている”と、直接的には、個々の業務に時間がかかり、全体としての効率が落ち、業務間で滞留が発生してしまう。この結果として、納期の長大化、納期遅延、コスト高、価格競争力の低下につながる。
  • 如何に“頻度の高い特殊・特急処理、影響度の高い異常処理は予めプログラム化しておく”を実施するのか
    • この“イリガルな処理が放置されている”という問題を改善するためには、“頻度”“社会へのインパクト”“顧客サービスへの影響”“業務全体への影響”“求められる期待度”を軸に、どのように対処すべきか分類して、夫々に優先度の付け方、取り組みの仕方を決めておくことが必要である。
    • “頻度が高い”“社会へのインパクト”“顧客サービスへの影響”“業務全体への影響”“求められる期待度”の高い処理は、事前に、いつでも組み込めるようにプロセス全体に融通性を持たせて組み込んでおく必要がある。
    • 特に、事象の発生に傾向(時期、環境や状況)がある場合は、予め組み込んでおくようにする。


関連事項

  1. 競争優位性の形成とケイパビリティの視点で捉える経営課題


引用