日本人の感性に視座した経営の新たなムーブメント

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日本人の感性に視座した経営の新たなムーブメント

経済の高度成長の時代が終焉して久しい。今や日本は成熟社会となり、グローバルにみても早晩成熟社会となる。成熟社会では、大量生産、大量販売、大量消費を前提としたビジネスモデルは通用しない。いわゆるマス“mass”の発想によっていては、消費生活者の心を捉えることはできずに、その事業は破綻する。


これからの発想の原点は、個人のアイデンティティであり、一人ひとりの心を捉えることにある。 一滴の水もそれが集まれば大河となる。一滴の水が澄んでいれば大河も美しい河となる。大河全体を清流とするためには一滴の水をきれいにしなければならない。

一人ひとりのストーリーを描いて企業経営に関わる様々な側面からのシナリオを描く。社会の趨勢、市場動向、顧客ニーズというマクロ視点、massからの発想で一人ひとりの生活を類型化するのではなく、一人ひとりのヒストリー、喜怒哀楽のストーリーを読み解いた一人ひとりの人生との関わりを明確にする。そうして、社会の趨勢、市場動向、顧客ニーズというマクロなデータから検証する。一人のストーリーをしっかり捉えることで仮説が生まれる。

  • mass からの思考、上から目線の戦略的思考ではなく、一人ひとりのストーリーからムーブメントを描くストーリー思考である
  • ものごとを規定して捉えようとする演繹的発想ではなく、千差万別にある一人ひとりの目線からの発想である


一人ひとりと向き合う姿勢が大事、その一人ひとりを表面的に捉えてはだめ、深層にあるその人を知ることで真実が見いだされる、深層を知ることで社会との関わりが分かる、深層を知ることで社会や世相が分かる


今、一人ひとりが生活の中で実感している関心の高まりは、

  • 一人ひとりの多様なアイデンティティへの対応
    • 生活のスタイル(暮らしの中の出来事、24時間の場面と情景、習慣と行動、動線で捉える生活)
    • その先にある実現したいこと(将来のために、誰かのために)
    • ライフイベントに実現したいこと
    • 欲しいことを自ら創造する
  • 感動とサプライズ
  • 安全への意識の高まりへの対応
  • 健康志向への対応 (生活習慣病、社会保障費の低減)
  • 地球温暖化による異常気象(災害の増加と激化、農業被害)
  • グローバル競争 (輸出と外資の参入)*少子化への対応
  • 文化への関心の高まり
  • 節約、省エネ
  • 観光 (オリンピック、パラリンピック、ハラール)
  • ユニバーサルデザイン
  • 期待される社会的責任、社会貢献の実現


では、どんな一人ひとりを捉えるのか? (そもそも標的客層をどう考えるか。クラスターから捉えるのであればmassからの発想になる)

  • 店頭での一人ひとり、お客様の声の一人ひとり、モニターの一人ひとり、口コミの一人ひとり、アンケートの一人ひとり、メンバーズ会員の一人ひとり、株主の一人ひとり、社員やその家族の一人ひとり、ネットで閲覧してくる一人ひとり、ネットでのアンケート回答者の一人ひとり、どの一人ひとりでもよい。

一人ひとりの感性が一人ひとりの行動を左右する

  • 人の行動は一人ひとりの意志による。行動は教えることで変わりうる。しかし納得しなければ変わらない。行動の仕方はその人一人ひとりの生き方にも依存する。逆に、「こういう仕方で行動する人とは」ということから、その人の生き方、意志を推し量ることもできる。しかし、表面的な行動パターンで捉えるとその人を誤って捉えることになる。何故、そういう行動の仕方をするのか、深層を捉える必要があり、そこに共通する特性が見いだされる。そこに必然的な行動の結果が見いだされる。
  • 家族としての行動もある。例えば、独身世帯、夫婦世帯、子育て中の家族(大家族、一人っ子)、受験期の子どもを持った家族、実家から通う子どもの家庭、カップルアゲイン、老々介護...。大家族は賑やかで良い、一人っ子家族は寂しいとかという表面的にイメージから決めてかかるのではなく、実際にどうなのかが大事であり、何故、表面的イメージとその人のストーリーが異なるかが捉え所として重要である。
  • 「こんな街で、こんな暮らし方がしたい」にライフスタイルへの夢、家族団欒への憧れが織り込まれる。未来の暮らし方を実現するために、今の行動パターン、家族の行動が制約されることもある。
  • 地域にある自然や街の香り、街の色(ごちゃごちゃした街並み/整然と規格化された街並み)、家庭にある色、お袋の味等、一人ひとりに培われた五感覚に対する感性が、その人の好き嫌いに影響し行動を決定づける要因になる。
  • 平々凡々な暮らしであっても、不自由なく暮らせること、安心して暮らせることに幸せがある。そして、それらが充足されると心を満たしたいという気持ちが強くなる。贅沢をしたいというよりも、自分の能力を発揮したい、思いを実現したい、心豊かに暮らしたい、愛のある暮らしに満たされたいといった思いが膨らむ。そうしたことに心揺さぶられる感動に接したいと思うようになる。


何故、今のライフスタイルが形成されるに至ったかが大事

  • そこにヒストリーがある、そこに共感する共通点が見いだされる(県民性を捉える、嗜好を捉える、自然や文化等に培われた感性がある、思考パターンを捉える)。
  • そこに未来に託すストーリー(Fore story)がある。これからの社会や世相・風潮・テクノロジーなどの状況により生活の仕方が変わる、将来の夢が変わる、子どもに託す夢が変わる、人間関係が変わる。

見いだされた共通点にこそ、経営が取り組むべきシナリオが存在する。


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