商品の独自性形成に関わる活動のパフォーマンスとその論点

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ここでは、商品の市場における独自性形成、また、外部環境が商品の独自性に及ぼす影響について、色々な概念を掘り下げ、変動要因として捉えて参ります。


商品が既存の市場で売れないとは

  • “売れない商品”とは
    • ただ単に “商品が売れない” というのではなく、戦略的に事業や商品の重要度を捉えて、どういう商品が売れないのかがポイントである ⇒ コア事業の既存商品が売れない、コア事業の新商品が売れない、ノンコア事業の既存商品が売れない、ノンコア事業の新商品が売れない、サプライ品が売れない、等、様々な視点から事実を捉えなければならない。
    • もうひとつの売れない商品の捉え方として、損益分岐点売上高を確保するだけの数量を販売出来ているかである。特に、コモディティ化した既存品、世代交代時期を迎えた商品、撤退時期を迎えた商品については、この視点で捉えることになる。
  • “商品が売れない” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “売れない” には色々な意味合いがある。① 商品の提供側の視点で「目標に到達していない」、② 市場の成長率と比較して「販売数が伸びていない」、③ 市場が安定しているにも関わらず「先月よりも販売量が減った」、④ 市場が縮小し始めているので「販売量が減った」、⑤ 顧客が競合他社製品を買うようになってきて「商品が売れなくなった」、⑥ 景気が悪化して「販売量が減った」等。
    • “売れない” 期間を捉えることも必要である。「売れなくなり始めている」「一時的に売れなくなった」「ここ半年、一年を通して徐々に販売量が低下している」「急激に販売量が低下した」等。
  • “商品が売れない”理由
    • 上記にある売れない商品の捉え方、“売れない” という事象の捉え方に応じて、商品の売れない理由を考える必要がある。単に、価格やシェア、業績指標を表面的に捉えるのではなく、その深層にある「販売力、提案力の問題」「ビジネスモデルの問題」「商品力の問題」「技術力、開発力の問題」へ掘り下げていかなければ、企業としての持続可能な成長を遂げることはできない。


商品の市場価値がなくなったとすれば、それはどういうことか

  • “商品の市場価値がなくなった”とは
    • ただ単に“商品の市場価値がなくなった”というのではなく、戦略的に事業や商品の重要度を捉えて、どういう商品の“市場価値がなくなった”のががポイントである
      • コア事業の既存商品の“市場価値がなくなった”
      • コア事業の新商品がすぐに“市場価値がなくなった”
      • ノンコア事業の既存商品の“市場価値がなくなった”
      • ノンコア事業の新商品がすぐに“市場価値がなくなった”
      • サプライ品の“市場価値がなくなった”
    • もうひとつの“商品の市場価値がなくなった”の捉え方として、新商品開発に投下した資本を回収するだけのの数量を販売出来たかである。特に、コモディティ化した既存品、世代交代時期を迎えた商品、撤退時期を迎えた商品については、この視点で捉えることになる。
  • “商品の市場価値がなくなった” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 上述した企業における商品の位置付けの夫々で、事象の経営や事業に対して引き起こす影響は異なる。
      • コア事業の既存商品 ⇒ コア事業の衰退の可能性がある。
      • コア事業の新商品 ⇒ コア事業の立て直しができなかった、衰退を止められなかった。
      • ノンコア事業の既存商品 ⇒ ノンコア事業の衰退の可能性がある。採算性がなければすぐに事業の縮小、撤退をするか検討すべきである
      • ノンコア事業の新商品 ⇒ ノンコア事業の立て直しができなかった、すぐに事業の縮小、撤退をするか検討すべきである。
      • サプライ品 ⇒ 主製品自体の“市場価値がなくなった”ことを意味する。主製品の市場シェアが低下した、または、海賊版のサプライ品が出回りサプライ品自体の販売数が低下したということも考えられる。しかしそれでは、“サプライ品の市場価値がなくなった”ということにはなrない。
  • “商品の市場価値がなくなった”理由
    • 上述した企業における商品の位置付けに対応して、“商品の市場価値がなくなった”という理由を考える必要がある。単に、価格やシェア、業績指標を表面的に捉えるのではなく、その深層にある「販売力、提案力の問題」「ビジネスモデルの問題」「商品力の問題」「技術力、開発力の問題」へ掘り下げていかなければ、企業としての持続可能な成長を遂げることはできない。
    • “新たな産業に取って代わられた”
      • 技術革新により新たな技術が台頭して取って代わられた場合、業界の壁が低くなり他の業界の事業者が参入し取って代わられた場合等に「新たな産業に取って代わられた」と位置付ける。業界内の競合製品による事象ではない。
      • 自動車(ガソリンエンジン車からハイブリッド、電気自動車へ)、音楽機器(レコード・カセットテープ・CDから音楽配信サービスへ)、カメラ(高額のアナログカメラ・使い捨てカメラ・デジタルカメラから多機能携帯端末へ)、携帯電話(ガラパゴス携帯からスマホへ)、録画(テープからDVDへ)、新聞・書籍(電子版へ)、大型汎用コンピュータ(UNIX、パソコンへ)、業務系システム開発(クラウド型へ)など。
      • スマートフォンやタブレット端末は、音楽機器、デジタルカメラ、携帯電話、パソコン市場を短期間に一変させた事例である(急速に起きる“新たな産業に取って代わられた”)。
    • “産業としてすたれてきている”
      • “産業としてすたれてきている”は、人の生き方、暮らし方、働き方の変化により産業そのものの “廃れ” が巻き起こされており、産業構造の変化をもたらす事象である。商品の世代交代、一時的な流行・廃りではない。
      • 代表的な事例
        • テレビ・洗濯機・冷蔵庫(白物家電需要の一巡)、新聞・雑誌・書籍(活字離れ)、業務システム開発(開発の一巡、効果がでなかったBPR/ERP導入)、銭湯
      • 経済環境、政策により国内では廃れてきている産業の事例
        • 国際競争力を失った産業(戦後日本の高度成長をささえた重化学工業、鉄、造船、半導体等)、ものづくり産業(親企業の海外移転等により空洞化してきている産業)、土木建築(行政の脱箱物、脱コンクリ政策、財政難による減少)
        • 原発事故を契機とした自然エネルギーへの社会が求める志向の変化は、突発的に起きた事例である。


市場価格が下がっているとすれば、それはどういうことか

  • “市場価格” とは
    • “市場価格” には「安いと売れない」「安くなければ売れない」の二面性がある。
      • ブランドの高級感を売りものにしている商品、特異性がある商品など、誰もが手にすることの出来ない商品は「安いと売れない」
      • 大量生産・大量販売が可能な商品、市場に広く浸透して大衆化した既存商品、いわゆる、コモディティ化した商品は「安くなければ売れない」。
      • 「安くなければ売れない商品は、新商品でも市場価格を高く設定できない
  • “市場価格が安い”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “市場価格が安い” を考える上では、単に、粗利だけでなく、商品のライフサイクル、開発の生産性、企業のコスト構造、企業や商品のブランド価値など、多面的に捉えて、問題を掘り下げていくことが必要となる。
      • [バイイングパワーの視点]消費者の低価格志向、販売チャネルによる値下競争を背景に、販売チャネル側の指値、強制的な値切りにより市場価格を抑えられている場合に捉えるべき問題である。
      • [限界利益の視点]単に、粗利(売値-原価)が出ていれば良いというのではなく、原価に加えて販売に関わる変動費と、更には、固定費をまかない得る利益(限界利益)が出ているかで捉える必要がある。
      • [開発費の回収の視点]商品のライフサイクル(新商品として販売開始時点から販売終了)を通して、その開発に要した費用を上回る利益、即ち、「元が取れる」かで考えることも必要である。この場合、総販売数量の予想とそれだけの数量を売れるだけの価格(市場価格)であるか、逆に、それだけの開発投資をしても儲かるのか(回収できるのか)が論点となる。


低価格化競争にさらされているとすれば、それはどういうことか

  • “低価格化競争にさらされている” とは
    • 低価格の輸入商品や競合他社の低価格商品との “低価格競争” が繰り広げられている場合であると位置付ける。
  • “低価格化競争にさらされている” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “市場価格が安い” と同様に、「限界利益」「開発費の回収」の視点で問題を捉える必要がある。この場合、限界利益を得るために際限のない原価低減や販売管理費削減が求められる。また、低コスト化を狙った商品開発に主眼がおかれ、開発費についても、コスト削減効果により回収できたか判断される。


余計な機能、過剰品質であるとすれば、それはどういうことか

  • “余計な機能、過剰品質である”とは
    • “余計な機能である”とは、先進的な技術力や製品の開発力があり、あるいは、マーケティング力が未熟なために創り出してしまった、市場が求めていない機能、顧客が使いもしない機能のことである。
      • 市場が未成熟の分野で、どこも製品にしたことのない先行して開発した機能で、誰にも利便性を知らない、その価値が理解されるのが難しい機能
      • 成熟した既存事業分野で、競合企業との差別化のために、既存機能だけで済むにも関わらず付加された機能。
    • “過剰品質である”とは、求められている以上の安心・安全、信頼性(故障無く正確に動作する)のことである。
      • コモディティ化した製品は、一定レベルの品質の商品が市場に溢れており、価格競争が激しく低価格化が求められている。高級ブランド品でない限り、市場が認知しているレベル以上の品質で高価格にする必要はない。
      • 市場が求めている安心・安全、信頼性レベルを確保している製品について、全体としての品質よりもある部品の品質が突出して良いことである。
  • “余計な機能、過剰品質である” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 先進分野の事業では、サプライヤも少なく、コスト高であり、販売チャネルも未成熟で、収益性を追求することは難しい。
    • 成熟した既存事業分野では市場は飽和しており、どんなに差別化しようとしても市場が拡大し需要が増える訳ではない。“余計な機能”の開発にいくら投資しても回収はおぼつかない。
    • コモディティ化した商品の市場は飽和しており、求められる以上の品質を確保しても差別化価値とはならず、市場が拡大し需要が増える訳ではない。
    • 商品全体と個々の部品の品質のアンバランスは、原価高につながり価格競争力を失う、あるいは、利益率の低下を招く。
  • “余計な機能、過剰品質である”理由
    • 技術力や製品開発力があれば、差別化でき売れるという過信がある。
    • 市場が成熟化し飽和してしまったにも関わらず、いつまでも、既存事業の既得権益を守ろうとする。
    • 既存事業での成功体験にしがみつき、発想の転換を拒もうとする。
    • 品質管理に関するノウハウがない。


市場が育っていないとすれば、それは変動要因としてどう影響するか

  • “市場が育っていない”とは
    • 社会や市場の変化、それに共鳴して生じる顧客ニーズに変化に適合しなければ、“市場は育たない”。
    • イノベーションの初期状態で、どの企業も製品にしたことのない先行して開発した機能について、誰に利便性を知らない、その機能に関する知識がなく価値を理解することが難しい場合には“市場は育たない”。
    • 販売促進が未熟であり、商品が市場に認知されない、販売チャネルが十分でなく顧客に届かない場合には、いつまで経っても“市場は育たない”。
    • 販売数が少なく、口コミによる販売先拡大も起きない場合も、いつまで経っても“市場は育たない”。
    • 既存商品で代替できる、類似の商品で代替できる場合、特に、低価格化が図られなければ、“市場は育たない”。
  • </strong>“市場が育っていない” の論点(捉え方の軸と筋道)</strong>
    • 市場が育つまでは、サプライヤも少なく、習熟効果でコスト低減を図ることも難しく、販売チャネルも未成熟で、収益性を追求することは難しい。
  • </strong>“市場が育っていない”理由</strong>
    • 社会や市場の変化、それに共鳴して生じる顧客ニーズに変化に適合していない。
    • イノベーションの初期状態で、販売数が広がらず、需要が増えていない。
    • マーケティング能力、ビジネスモデル構築能力が弱い。


景気後退しているとすれば、それは変動要因としてどう影響するか

  • “景気後退が影響している”とは
    • マクロ経済での景気後退とは別に、ミクロ経済としての問題は、景気後退が自分の会社の事業にどの様に影響するかである。
    • ここで問題になることは、単に、景気後退でモノが売れなくなるという現象の顕在化ではなく、その原因がどこにあるかで、事業への影響が異なってくる。
      • 国内の景気循環による景気後退局面である
      • 景気刺激策としてのゼロ金利や量的緩和政策からの転換
      • インフレ抑制策としての高金利政策
      • 海外(特に、米国、中国、EU等)における景気後退の影響(円高による輸入品の価格安)
      • 海外(特に、米国、中国、EU等)におけるバブル景気による円安(輸出産業には有利に働くものの、原油をはじめとする輸入品の高騰、値上がりの連鎖)
      • 国内大規模災害による株価の下落、円安
      • 海外政治情勢(紛争の勃発)
      • 消費税増税等の政策
  • “景気後退が影響している” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 上記景気後退の原因に応じて事業への影響は様々であるが、その事業がもろに影響を受けると売上は激減する。
    • 日本のバブル景気までは、事業の多角化によるリスク分散が推奨された。しかし、成熟経済となった以降は、欧米流の “選択と集中”が主流となった。
    • 現実的にも、グローバルでの競争の時代と成った現在では、多角的に資金をつぎ込んで競争優位を確保することは難しい。
    • 自らの事業や商品と景気変動と関わりを常に念頭に置いて、事業を展開することが必要である。


法令が不利に変化した(規制強化された)とすれば、それは変動要因としてどう影響するか

  • “法令が不利に変化した(規制強化された)”とは
    • 国際的な枠組みや取り決め(国連や国・地域間で締結された条約)、国際機関による勧告やガイドライン(ILO、ISO等)、海外の国・地域で制定されている法令、国や自治体が制定している法令(環境関連法、労働関連法、知的財産関連法、個人情報保護法)、業界に関連する法律や条令、関税、輸出入規制等を捉える必要がある。国・地域で規定されていない場合は、国際的な枠組みや取り決めが優先する。
  • “法令が不利に変化した(規制強化された)” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • TPPの動向、参入の自由化(資格、許認可、登録)、経済特区など規制緩和の動向


関連事項

  1. パフォーマンスの視点で捉える経営課題 メインページ


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