「経済環境変化を先取りして投資回収率の良い分野に経営資源を集中する」の版間の差分
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Junichi ikebe (トーク | 投稿記録) |
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**(PlanC)コアビジネスから隣接するビジネス、サービス化、知識化への戦略展開 | **(PlanC)コアビジネスから隣接するビジネス、サービス化、知識化への戦略展開 | ||
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**社会の変化に対して自社内の意識が向けられている方向性と位置付け(変化の創造、変化への適応(先行、後発))の関係から、どの様に取り組むべきかが制約される。 | **社会の変化に対して自社内の意識が向けられている方向性と位置付け(変化の創造、変化への適応(先行、後発))の関係から、どの様に取り組むべきかが制約される。 | ||
***これまでの発想にとらわれず、新たな「あったらいいのに」を創り出す | ***これまでの発想にとらわれず、新たな「あったらいいのに」を創り出す |
2015年1月4日 (日) 16:30時点における版
ここでは、「経済環境変化を先取りして投資回収率の良い分野に経営資源を集中する」という課題に対して、どの様に変化やその兆しを捉えて、戦略を構想したらよいか説明して参ります。
目次
経済環境の変化や兆しを捉える
経済的環境の変化を様々な数値で捉える
- 長期的にグローバル全体として経済動向を捉える
- OECDの経済予測、ILOの年次報告
- 現在における日本の経済動向を捉える
- 日銀短観、政府の経済基調、国際収支統計、プライマリーバランス、日本国債等の格付け
- 人口動態、社会保障の負担額、公共投資先と投資額
- GDP(名目と実質)、物価、企業の設備投資、在庫状況、有効求人倍率、完全失業率
- 政策金利、為替レート、平均株価、金利、マネーサプライ、投資家の投資行動
- 足下の経済動向を捉える
- 街場の景況観
- 企業の財務状況を捉える
- 売上、利益、キャッシュフロー、内部留保
- 総資産回転率、資本比率
経済環境変化を先取りして投資回収率の良い分野に経営資源を集中するために
経済的環境の変化を企業の財務状況の視点で捉える
- 景気の動向(景気、基調判断)と財政状況(潤沢・逼迫、成長率)のどこに位置するかを考える
- 不況が長引くと景気刺激のために金融当局は政策金利の引き下げや量的緩和策を打ち出し、政府も公共投資によって市中にお金が回るようにとの政策を講じる。旧来は短期的視点での政策が通用したが、国・地方の財政が逼迫し財政規律の厳格適用と緊縮財政が求められるようになると、そうした政策は敬遠されて成長戦略が重要視される。一方、企業の財政状態も苦しくなり、事業への投資も縮小していく。金融機関も倒産のリスクを避けるために貸し渋りや貸しはがしを模索する。
- しかし、この時期にこそ低金利での融資が可能であり、成長戦略に沿った事業計画には国・地方の支援(助成金、補助金)が見込まれる。但し、日本では、事業のリスクを背負わない風潮が強く、資金力や担保力、投資した事業の失敗を穴埋めするだけの財力があればのことである。景気の動向と企業の財政状況のどこに位置するかを見極めた事業プランが求められる。
- 今後の好景気と潤沢な財政状況下での事業の売上高成長率、投資利益率の状況
- 今後の好景気と逼迫する財政状況下での事業の売上高成長率、投資利益率の状況
- 今後の不景気と潤沢な財政状況下での事業の売上高成長率、投資利益率の状況
- 今後の不景気と逼迫する財政状況下での事業の売上高成長率、投資利益率の状況
投資回収率を考える
- 企業経営で考えなければならないことは、個々の事業の短期的な業績ばかりではなく、企業全体としての成長とブランド価値の向上とである。
- そのためには、個々の事業について経営全体の視点から、研究開発費や設備導入に関わる初期投資、人的資源への投資、在庫投資などの運用コストを支払っても更にそれを上回る利益が得られるか、それを原資として新たな事業の開発が可能かどうか、すなわち、短期的な視点での投資利益率よりも、下記の費用に資金を投資し続けても得られる利益で回収ができるかという投資回収率が、経営上の投資判断として重要となる。
- 売価と販売数量
- 研究開発費と設備投資(初期費用)
- 人件費(販売に関わる人件費、教育コスト等)
- 在庫投資(仕入原価、製造原価)
- ブランディング、販売促進に関わる費用
- サービス提供に関わる費用
- 業務のマネジメントに要する費用(管理費)
- 資金調達コスト 等
経済環境変化を先取りして投資回収率の良い分野に経営資源を集中する諸戦略
売上構造の改革(売上高成長率拡大を意図した戦略展開)
- 何故、“売上高成長率拡大を意図した戦略展開” であるのか
- 直接的には、売上から利益が得られ、キャッシュインの源泉となる。売上高成長率拡大により、株主価値の増大へとつながる。
- 売上高成長率拡大を意図した戦略展開のためには、市場開拓、顧客開拓、商品開発、技術開発、ビジネスモデル開発、販売力強化(「作れば買ってくれる」の販売戦略から「提案型営業への転換」)を図ることが必要であり、ひいては、企業の持続可能な成長へとつながっていく。
- 売上高成長率拡大を意図した戦略展開の外形的類型例
- (PlanA)社会の変化に伴う市場規模・ポジショニングの変化に即した事業の再編
- (PlanB)長期的にコーポレートブランドを植え付けていく戦略展開
- (PlanC)コアビジネスから隣接するビジネス、サービス化、知識化への戦略展開
- (PlanD)新興国市場への戦略展開
- 売上高成長率拡大を意図した戦略展開は外形的な取り組みでは実現できない
- 社会の変化に対して自社内の意識が向けられている方向性と位置付け(変化の創造、変化への適応(先行、後発))の関係から、どの様に取り組むべきかが制約される。
- これまでの発想にとらわれず、新たな「あったらいいのに」を創り出す
- 新たな需要、市場を創り出す
- ビジネスチャンスを捉えて、事業を拡大する
- その先にある 「あったらいいな」 を創造する
- その上で、組織の持つ弱みを強化するために、何に優先して取り組むべきかが決まる。
- 商品力が弱い ⇒ 顧客目線で考える能力を強化する
- 販売力が弱い ⇒ 顧客中心に行動する能力を強化する
- ビジネスモデル構築力が弱い ⇒ ビジネスモデル構築能力の不足
- 顧客訴求力が弱い ⇒ 商品の魅力を醸し出す能力を強化する
- 技術力が弱い ⇒ 技術革新能力を強化する
- 開発力が弱い ⇒ プロデュース力を強化する
- 社会の変化に対して自社内の意識が向けられている方向性と位置付け(変化の創造、変化への適応(先行、後発))の関係から、どの様に取り組むべきかが制約される。
シェア拡大を意図した戦略展開
- 何故、“シェア拡大の戦略展開” であるのか
- 直接的には、売上の拡大、売上高成長率拡大へとつながる。
- シェア拡大の戦略展開のためには、客単価アップ、顧客数拡大、顧客シェア拡大、製品間の相乗効果による需要の創出等が図る必要がある。ひいては、新たな市場開拓、顧客開拓へと結びつき、企業の持続可能な成長につながっていく。
- シェア拡大の戦略展開の類型例
- 商品の差別化だけでなく優位に立てる市場へ戦略を転換する
- 転換した標的市場に対して販売網・販売力のある販売会社を確保しチャネルシェアを拡大する
- 転換した標的市場に対して、安定供給できる優秀で安全なサプライヤシェアを確保する
- 転換した標的市場において、商品/サービス、サプライヤ、チャネルの状況をウォッチして、その時点での最適ミックスを構築し続けていく
利益・コスト構造の改革(利益率増大を意図した戦略展開)
- 何故、“利益率増大を意図した戦略展開” であるのか
- 直接的には、キャッシュインの源泉となる。利益率の増大を図ることにより株主価値の増大へとつながる。
- 売上高成長率増大の戦略展開だけでは、経営戦略として不充分である。景気変動等の要因により売上高は大きく変動する。こうした外乱要因の影響の中で生き残るるために多角化や海外展開などの新市場開拓戦略をとることも考えられる。しかし、こうした新たな投資が必要な施策を打つ前に、まずは、差別価値を創造して商品の高価格化を図る、原価低減を図る、販売費や一般管理費の削減を行う利益率増大を意図した戦略展開を考えるべきである。
- “利益率増大を意図した戦略展開”をとることにより、内発的に、且つ、自然発生的に現場でのプロセス改革への取り組みが浸透し、組織は、様々な工夫を考案する創造的となる。高利益率の企業は環境変化にも強く、競争力のある企業と言える。
- 不況だからといって、すぐに人員削減することは、利益率増大を意図した戦略展開とは言えない。人員削減は、組織の様々な能力を著しく損なう。
- 利益率増大を意図した戦略展開の類型例
- どの企業も手掛けていない商品、市場分野に打って出る
- 先行者で市場が成長しているうちに多くの利益を獲得する
- 低価格で提供できるように仕入原価、生産原価、経費を削減する
- 全体で低価格で提供できるように調達、販売チャネルを組み直す
- 不採算事業になり始めたら、折角作り上げたブランドであっても拘らずに撤退する
需給変化に即応する生販在組織の効率化(投下資本回転率向上の戦略展開)
- 何故、“投下資本回転率向上の戦略展開” であるのか
- 直接的には、キャッシュの回転による経営を可能とする。ひいては、株主価値の増大へとつながる。
- 投下資本回転率向上の戦略展開の実現のためには、売上回収、仕入支払いのプロセス改革、労働生産性の向上、在庫水準の適正化と滞留在庫の圧縮、設備稼働率の適正化と遊休設備の圧縮などを図ることが必要となる。ひいては、常なるプロセスの改革、経営のスリム化へとつながっていく。
- 投下資本回転率向上の戦略展開の例
- 多様なニーズに即応して再編できる販売組織体制にする
- 多様なニーズに即応して再編できる生産組織体制にする
低コスト生産地拠点化によるコスト競争優位化の展開
- 何故、“低コスト生産地拠点化によるコスト競争優位化の展開” であるのか
- 直接的には、利益の増大、キャッシュの増大となり、株主価値の増大へとつながる。
- 低コスト生産地拠点化によるコスト競争優位化の展開として、人件費の低い地域、原材料を低コストで調達できる海外地域に生産拠点を移すことも考えられる。この場合、技術力などの海外流出、技能をベースに構築してきたサプライチェーン、市場や顧客のニーズを吸い上げてフィードバックするデマンドチェーンとしての販売網、地域社会と培ってきたコミュニティの破壊を伴うものである。
- また、産業の空洞化、地域社会の雇用喪失を伴うものでもある。こうしたリスクを最小化することの上に“低コスト生産地拠点化によるコスト競争優位化の展開”を考えるべきである。
- 低コスト生産地拠点化によるコスト競争優位化の展開手順例
- 労務費、現地調達が可能な材料費、輸送費、在庫費が低い候補地域を洗い出す
- 労働力の確保、現地での原材料の確保、カントリーリスクのない地域を選定し生産拠点を移転する
- 低コスト生産拠点移転による製造原価低減状況を見て、必要であれば改善する
- 低コスト生産拠点移転による輸配送コスト削減状況を見て、必要であれば改善する
- 低コスト生産拠点移転による在庫コスト削減状況を見て、必要であれば改善する
販売物流拠点化による競争優位化を意図した展開
- 何故、“販売物流拠点化による競争優位化の展開”であるのか
- 直接的には、売上高の増大、ひいては、株主価値の増大へとつながる。
- 販売物流拠点化による競争優位化の展開により、短納期での納品を可能とすることで受注拡大(納入リードタイムの短縮)、市場や顧客に近いところに拠点を持つことで、顧客のニーズを吸い上げられる、顧客へのきめ細かいサービスが可能となり顧客の獲得利益の増大化を図ることができるようになる。
- 販売物流拠点化による競争優位化の展開手順例
- 地域の文化や生活様式に合う商品を、その地域の環境変化にきめ細かく合わせて、迅速に提供できるように、販売拠点、ストックポイントの配置計画を策定する
- 事業を展開する拠点、及び、その商圏の特性から、顧客志向の販売、サービス体制を構築する
- 事業を展開する拠点、及び、その商圏に関する将来のマーケットの見積規模と変動リスクを評価して、事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
- 事業を展開する拠点、及び、その商圏における将来の期待シェアと変動リスクを評価して、事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
- 事業を展開する拠点、及び、その商圏に関するビジネスの寿命と投資回収リスクから、投資回収計画の見直しを行う
- 事業を展開する拠点、及び、その商圏における将来の期待投資利益率と変動リスク、損益分岐点から顧客価値の最大化を目的とした事業展開の方針や事業規模を見直しを行う
- 顧客との取引関係強化を図りつつ、その変化に応じて適宜適正な販売コストの投入となっているか管理して、必要であれば是正する
拠点化による設備集約化を意図した戦略展開(効率的な設備投資戦略)
- 何故、“拠点化による設備集約化戦略”であるのか
- 直接的には、設備稼働率の向上や遊休設備の圧縮、ひいては、投下資本回転率向上へとつながる。
- 拠点化により、原材料の一括発注や集中購買、技能者の集中化による融通性のある横展開の実現ととプロセスの改革、技能者同志のコミュニケーションが活性化し相乗効果によるの新たな技術の開発が可能になる。
- 拠点化による設備集約化戦略の展開項目例
- 生産の拠点集約化により設備等の重複投資を圧縮する
- 調達業務の拠点集約化により設備等の重複投資を圧縮する
- 物流の拠点集約化により設備等の重複投資を圧縮する
- 販売の拠点集約化により設備等の重複投資を圧縮する
- サービスの拠点集約化により設備等の重複投資を圧縮する
- 拠点化による設備集約化戦略の論点(生産拠点集約化の場合)
- 複数の工場における生産状況を評価し、拠点集約化の可否を検証する
- 生産拠点集約化に伴う設備投資額、運転コストを想定し、拠点化の可否を検討する
関連事項