「Arguments about market share」の版間の差分
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2014年12月30日 (火) 05:41時点における版
ここでは、商品のシェア拡大に関する活動について、色々な概念を掘り下げ、変動要因として捉えて参ります。
目次
シェアが低下しているとすれば、それはどういうことか
新規顧客が獲得できていない
- “新規顧客” とは
- 新規顧客の定義も業種、業態、企業によって様々である。概して、大量販売品を売る小売り業であれば新たな来店客であり、外商担当者から見れば新たに買ってもらえた顧客となる。通販では、新たに会員登録して買ってくれた顧客である。B2Bの事業者から見れば新規契約先顧客となる。
- 事業部門の視点から、①新事業の新規顧客、②新事業の既存顧客、③既存事業の新規顧客という分類もされる。この分類では、顧客を事業縦割りに捉えることになり、企業にとっても顧客にとっても好ましくない。企業全体として “新規顧客” を捉えるべきである。
- 新規顧客数、新規顧客による購買額が、“新規顧客” を捉えるポイントとなる。
- “新規顧客が獲得できていない”の論点(捉え方の軸と筋道)
- 新規顧客を獲得するには、新たな魅力のある商品の開発、新たな販売チャネルの開拓、膨大な販売促進費(広告宣伝、ブランド構築)、営業の地道な顧客開拓活動が必要である。こうした資金、労力の結果として新規顧客を獲得しても、リピートにつながらなければ意味がない。新規顧客を如何に常連顧客にするかに重きを置かなければならない。
- 老舗のお店では、いわゆる、飛び込みで来店する一見客を断る場合がある。連れ合いでの来店した新規顧客の常連化が鍵となる。B2Bの業種・業態において、ブランド力を高める戦略として参考となる手法である。
顧客が離反している
- “離反” とは
- “離反” は既存顧客が購買をしなくなったことを言う。
- 既存顧客が、どれくらいの期間、どのような理由で購買しなくなったかがポイントである。
- “顧客が離反している” の論点(捉え方の軸と筋道)
- “顧客が離反している” の本質は“その理由”である。例えば、
- 買い回り品や専門的な商品について、購買可能な地域にいて、同等の商品が売れている状況で、当然のことながらその顧客が同様の購買を続けていると想定されるのに購買しなくなった場合は、他社商品に乗り換えたか他の店舗で購買するようになったことになる。
- 買い回り品や専門的な商品について、購買可能な地域にいて、同等の商品の売れ行きが下がっている状況で、その顧客が購買しなくなった場合は、単に、当該商品を買わなくなったか、他社の新商品を他の店舗で購買するようになったかである(商品の見直しが必要となる)。
- 店舗販売で、新規顧客が1度限りの購買(リピートを逃した)にとどまった場合、単に、その地域に来てそれが必要だったから、たまたま1度限りに買ったのかも知れない。しかし、繰り返し購買可能な地域にいる顧客が、同等の購買をしていると想定される(2度と来店しなくなった)場合、問題の本質は接客、価格設定にあると考えられる。
- “顧客が離反している” の本質は“その理由”である。例えば、
優良顧客が減少している
- “優良顧客” とは
- “優良顧客” の定義は業種や業態、その企業によって定義は様々である。概して、①定期的に高額商品を買ってくれる顧客、②頻繁に高額商品を買ってくれる顧客、③自社の製品だけと決めて買ってくれる顧客、④広告塔になる顧客、⑤新製品の発表に並んででも買ってくれる顧客などである。
- “優良顧客” の数、“優良顧客” の購買額などが “優良顧客” を捉えるポイントとなる。
- “優良顧客が減少している”の論点(捉え方の軸と筋道)
- 直接的には、“優良顧客” の売上が低下することで全体のビジネスサイズが縮小することが問題となる。
- “優良顧客” はブランド力の要素でもある。また、口コミなどで新たな顧客の開拓もしてくれる。マーケティング効果として「優良顧客が減少している」を問題として捉える必要がある。
既存顧客の購買意欲が低下している
- “既存顧客” “購買意欲” とは
- “既存顧客” は、リピート購買する顧客の数、リピート購買する顧客の購買額で捉えることができる。
- “購買意欲” は、リピート購買する購買客毎の、購買頻度、最近の購買時期、購買額で捉えることがポイントとなる。
- “既存顧客の購買意欲が低下している”の論点(捉え方の軸と筋道)
- 売上高で “既存顧客” の “購買意欲” を捉えると見誤る。事業や商品の視点ではなく、顧客の購買目的、購買意思決定の要因、満足度で「既存顧客の購買意欲が低下している」という問題を捉える必要がある。
- 既存顧客を識別する仕組みが重要である。店頭販売ではポイントカードが役に立つが、基本は対面販売で顧客との対話で「既存顧客の購買意欲が低下している」ことを捉えて要因を把握する必要がある。
顧客シェアが低下している
- “顧客シェア” とは
- “顧客シェア” とは、既存顧客の購買額に占める自社商品の購買額の割合である。現実には顧客の購買額を捉えることは難しいので、個人を対象とする事業では、使用する必要はない。
- 公共事業、設備投資や情報化投資に関する事業で、顧客の予算額が開示される場合に、競合企業の受注推定額から顧客シェアを推定することができる。
- 個人顧客に対する渉外営業(外回り営業)や御用聞き営業の形態では、顧客宅を訪問し、様々な相談に乗って信頼関係が築かれるため、ある程度の顧客シェアを捉えることができる。
- “顧客シェアが低下している”の論点(捉え方の軸と筋道)
- 成熟化社会(少子高齢社会で経済成長が停滞し、商品の需要が一巡した社会)では、大量生産・大量販売品の需要が頭打ちとなり、買い替え需要、商品に対するレイトマジョリティ(懐疑的な人々)やラガード(因習的価値観を持つ人々)の需要を掘り起こして開拓された需要の奪い合いとなる。
- こうした状況ではかつての様な大衆市場へのマスマーケティングでは売れず、一人ひとりの個性、その時々のニーズに合わせて販売機会を捉えていくことが求められる。
- その意味では、市場シェアの粗い網の目で見るのではなく、個人の限られた所得(ベースアップが見込めず、いつリストラされるか分からない不安を抱えた所得)の中から、自社商品にどれだけお金を出してくれるかをきめ細かく捉えていく顧客シェアの発想が、これからは必要となる。
- 公共事業、設備投資や情報化投資に関する法人営業では、顧客の予算を如何に自分のところに振り分けさせるかが重要となる(保守予算の獲得、関連設備への追加投資の提案と獲得、事例を増やすことで新たな案件の掘り起こしにもつながる)。
顧客満足度が下がっている
- JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)による顧客満足の定義
- 利用前に抱いていた顧客の深層にある期待
- 利用に際しての品質(知覚品質)の評価
- 価格(知覚価値)に対する納得感
- 一定期間、一定回数の利用によって得られる顧客の満足感
- 口コミによる評価
- 継続的な利用につながる(顧客ロイヤリティ)
- “顧客満足度” とは
- 一般的な手法として、顧客満足度を捉えるために「顧客満足度調査」を行う。
- 顧客の声を聞く機会でもあり、フィードバックして改善にも繋げることができる。定期的に継続して実施することで、改善の効果を測り、顧客からの声を活かしていくこともできる。
- 経営者や管理者の自己満足を得るための「顧客満足度調査」、形式的な「顧客満足度調査」であってはならない。
- 顧客の視点に立った、顧客の真のニーズに対する満足を調査しうる項目の設計が必要となる。
- “顧客満足度が下がっている”の論点(捉え方の軸と筋道)
- 直接的には、顧客の購買意欲の低下、顧客の離反につながる。
- 顧客の真のニーズを捉えていない、事業が廃れてきている、商品の魅力が低下した(他社商品に目移りがしている)、価格が見合わない、担当営業が気に食わない、提案力が低い、クレームへの対応が悪い等、様々な要因が考えられる。
- “顧客満足度調査” の結果から、不満の原因がどこにあるかを見定めて、速やかに改善しなければならない(顧客は調査に回答することで改善されると期待している)。
関連事項