|
|
(同じ利用者による、間の4版が非表示) |
行1: |
行1: |
− | ここでは、競争力のあるプロセス改革力を組織が形成しているかどうかを変動要因として捉えて参ります。
| + | empty |
− | | + | |
− | | + | |
− | = もし、プロセス改革力が弱いとすれば、それはどういうことか =
| + | |
− | | + | |
− | == 個々のプロセスが個別最適化されている(連携していない) ==
| + | |
− | *“個別最適” を捉える視点
| + | |
− | **“個別最適”は“部分最適”“局所最適”と同等の意味で用いられる。企業のある部署の機能遂行、業績達成にとっての最適化を図ることである。これに対し“全体最適”は狭義には企業全体、もう少し広く捉えればステークホルダーも含めた全体、最も講義に捉えれば社会全体にとっての最適化をはかることである。
| + | |
− | **個々の部署の最適化が、必ずしも他の部門の最適化につながるとは限らない。また、全体最適につながることもない。“個別最適”を考えるときにはトレードオフ関係として捉えることが必要である。
| + | |
− | *“個々のプロセスが個別最適化されている(連携していない)”の論点(捉え方の軸と筋道)
| + | |
− | **生産部門はたくさん生産すれば効率向上にもコスト低減にも業績向上にもつながる。事業部門は顧客からの引き合いに対し在庫を抱えておいて短納期で応えることで契約を取り営業成績を上げたい。しかし、作りすぎや過剰在庫、滞留在庫のリスクを考慮に入れると、この個別最適解は企業全体として最適であるとは言えない。
| + | |
− | **“個別最適”は縦割り組織の典型的な理想像でもある。“個別最適”は一人ひとりの生産性向上を図る上で必要なことであるが、全体としての視点で最適かどうかを考えながら取り組んでいく必要がある。
| + | |
− | *逆に、“全体最適”の下で、個々の部門の利益が損なわれたり、個人の存在やその人の行動が無視されたりすることがあると、組織全体としての融和的雰囲気は壊されてつぶし合いが起き始まり、果ては、いくら頑張っても無視されるならやらない方がましだ、どんなに言っても誰も聞いてくれないから辞めてやる等の発言につながっていく。
| + | |
− | | + | |
− | == リードタイムが長大化しバラツキがある(工数がかかる、工期が長い) ==
| + | |
− | *“リードタイム” を捉える視点
| + | |
− | **“リードタイム” とは、工程に着手してから完了するまでの時間である。業務を評価する視点として3要素「品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)」が問われる。このうち “リードタイム” は納期(Delivery)に関わる指標で、短納期化の視点、納期遵守の視点から捉えられる。もっとも、無闇にリードタイムを短縮してもその代償として品質の低下につながる、リードタイムが長期化すればコスト上昇につながる等の相関性がある。
| + | |
− | **“リードタイム” は、顧客による発注時点から納品までの全ての工程を捉えた “トータルリードタイム” 、及び、製造業においては、 “開発リードタイム” “調達リードタイム” “生産リードタイム” “配送リードタイム” に分解して捉えることができる。
| + | |
− | **製造業以外においても、“リードタイム” を一般化して活用することができる。販売業において “トータルリードタイム” は重要な指標であり、運送業においては “配送リードタイム” が重要な指標となる。
| + | |
− | **厳密には、何をもって “リードタイム” の開始時点とし、完了時点とするかは、その時刻を捉えるプロセスを処理する技術にも依存し様々である。しかし、過度の厳密性は現場の負担を強いることになり、活用目的をしっかり定めた上で運用すべきである。
| + | |
− | *“リードタイムが長大化しバラツキがある(工数がかかる、工期が長い)”の論点(捉え方の軸と筋道)
| + | |
− | **トータルリードタイムが長いことで、顧客の必要とする時に間に合わずビジネス機会を逃す、納期に間に合わない、顧客の信用を落とす、顧客の不満となる、工程にかかる労務費が増大し原価が高くなるなどの諸問題を引き起こす原因となる。
| + | |
− | **分解された “開発リードタイム” “調達リードタイム” “生産リードタイム” “配送リードタイム” が長くなると、当然の結果として “トータルリードタイム” の長期化につながる。詳細に見れば、“リードタイム” の長い工程はクリティカルパスとなり全体の足を引っ張る。また、ある工程で “リードタイム” が長くなる(工程完了が遅れる)と、次工程以降での待ちが発生し、全体としての効率を低下させてしまう。
| + | |
− | | + | |
− | == 在庫回転率が悪い ==
| + | |
− | *“在庫回転率” とは
| + | |
− | *財務諸表上から読み取る “在庫回転率(棚卸し資産回転率)” では、①会計期間中の売上高が会計年度期末における棚卸し残高で割って算出する。当該在庫を会計期間中に何回回転させることができるかを捉える。
| + | |
− | *在庫回転数をより厳密に捉えるには、②会計年度期間中に販売された在庫の金額(=売上原価)を期末棚卸し残高で割って算出する。
| + | |
− | *商品管理として捉えるべき “在庫回転率(商品回転率)” は、期間が会計年度では長過ぎる。そこで、一定期間内の売上高を一定期間における平均在庫で割って、その期間中に平均在庫を何回回転させることができるかで捉える。例えば、1ヶ月間に平均在庫を1回以上を回転させることができれば、生産した以上に売れていることになる。
| + | |
− | *商品の欠品、補充管理の視点で考えるのであれば、大雑把な目安として、“在庫回転日数(在庫回転率の逆数)” で捉える必要がある。例えば、1ヶ月の在庫回転率が3回転であれば、在庫回転日数は0.3ヶ月となり、約10日分の在庫を持っていることになる。
| + | |
− | *“在庫回転率が悪い”の論点(捉え方の軸と筋道)
| + | |
− | **“在庫回転率が悪い”とは、一定期間中に生産、もしくは、仕入れた分が売れていない(売れ残っている)として問題を捉える必要がある。その要因として、①販売力が落ちている(事業の効率が悪い)、②売れる以上に生産、もしくは、仕入れている(過剰生産)、の両面から可能性を考えなければならない。
| + | |
− | **この問題は本質的に、マーケティング部門、生産部門、仕入部門、販売部門が、夫々に自部門の業績達成、業績拡大を図ろうとすることに起因する。例えば、生産部門は効率を向上してより多く作れば高く評価されるが、逆に、過剰生産に陥る可能性がある。販売部門は短納期で契約を取り付けるために、あるいは、欠品による販売機会ロスを防ぐためにより多くの在庫を抱えたい。「在庫回転率が悪い」に対する第一の対策は、“在庫責任” を明確にすることである。
| + | |
− | **しかし、社会、市場、顧客の多様な変化に起因して「在庫回転率が悪化」している場合には、この対策では不充分であり、“在庫回転率” で捉えることでの管理の限界でもある。
| + | |
− | | + | |
− | = 関連事項 =
| + | |