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− | ここでは、「これまでの事業をクロージングすることで新たな市場を創造する」という課題に対して、どの様に変化やその兆しを捉えて、戦略を構想したらよいか説明する。
| + | [[既存事業をクロージングして新事業へ転換する]]へ移動 |
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− | = 事業を取り巻く環境の変化や兆しを分析する =
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− | == 経済的環境の変化、自社の財務状況を分析する ==
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− | 既存事業が廃れて衰退する前に、新たな事業へと転換を図っていくことが必要である。新規事業の今後の市場の伸びや既存事業の市場での普及状況との兼ね合い(市場に流通している既存商品の大半が耐用年数を超えている、市場に流通している既存商品の大半が稼働している、市場に流通している既存商品の大半が買替時期に達している等)、景気の動向、自社の財政状況を勘案しながら、事業が存続できている間に新規事業を投入する時期を見極めて様々な方法で資金を調達し投下していかなければならない。一般的には、以下の視点で事業を取り巻く環境の変化を捉えていことになる。
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− | まずは、大局的に、長期的にグローバル全体として経済動向を捉えておくことが必要である。
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− | *OECDの経済成長見通し、貿易統計等の報告書
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− | *ILOの年次報告
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− | また、長期的にグローバル全体として経済動向を背景として、現在の日本の経済動向を捉えておかなければならない。特に、グローバル経済化した現在の経済環境においては、輸出に頼っている企業での収益への為替相場の影響、原材料を輸入に頼っている企業における原価への為替相場の影響ばかりでなく、そうした諸事情が巡り回って国内市場においても、常に[[為替相場が国内の販売にどう影響するか|為替相場が販売にどう影響するか]]を考えておくことが求められる様になってきている。
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− | *日銀短観、政府の経済基調、国際収支統計、プライマリーバランス、日本国債等の格付け
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− | *人口動態、社会保障の負担額、公共投資先と投資額
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− | *GDP(名目と実質)、物価、企業の設備投資、在庫状況、有効求人倍率、完全失業率
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− | *政策金利、為替レート、平均株価、金利、マネーサプライ、投資家の投資行動
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− | マクロな視点で経済環境を捉えているだけでは手遅れになる。大事なことは、足下の経済動向を捉えて打つべき戦略を考えることである。
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− | *自分の属する業界の景況観
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− | *顧客企業やその関係先の属する業界の景況観
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− | *街場の景況観
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− | 一方、様々に打つべき戦略を考えるにしても、自社の財務状況がどうであるかを冷静に捉えて判断することが必要である。
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− | *売上、利益、キャッシュフロー、内部留保
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− | *売上高成長率、営業利益率、経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、有利子負債比率
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− | == データから読み解く経営環境の変化と事業を展開する上での論点 ==
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− | どんな事業もやがては技術革新の波にのまれて消え去っていく運命にある。それを事業の失敗だとか事業が破綻したといったネガティブなイメージではなく、むしろ、ポジティブに捉えて、上手にクロージングして新たな事業の展開への成功のステップとすることが大事であり、更には、それを意図的に仕組んでいくことで大きな飛躍をもなし得るようになる。このためには、何よりも [[日本の自社業界にカタストロフィーは起こるか]]、[[この商品の日本の販売量はどこが上限か]]、[[このモデルの寿命はどれくらいか]]、[[この商品、このままだといくら売れるか]]、[[自社の類似分野に進出すべきか]] をきちんと見通す慧眼を持つことが何よりも重要であり不可欠である。
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− | = 事業を取り巻く環境の変化を市場全体の視点で戦略を考える =
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− | == 事業を取り巻く環境の変化を様々な視点から戦略を考える ==
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− | 既存事業の衰退期の事業戦略であり、既存商品との兼ね合いから、以下のケースに分けて考える必要がある。
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− | *市場に流通している既存商品の大半が耐用年数を超えている
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− | *市場に流通している既存商品の大半が稼働している
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− | *市場に流通している既存商品の大半が買替時期に達している
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− | 現実的には、更に踏み込んだ視点から市場を分析して、もっと正確な見通しを立ててビジネスチャンスを活かし、また、様々なリスクを回避していかなければならない。具体的には、以下の点について、詳細に捉えて事業戦略を展開していくことが経営の意思決定の際には求められる。
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− | *需要が減少して供給過剰となった市場の再編成か、市場の再編成を見限り新事業への転換かを適切な時期に判断する
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− | *新規事業に転換することでブランド価値を高める
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− | *既存事業からの撤退に際して、愛顧客の離散防止と新規顧客の獲得、既存事業の雇用の転換、人材が新分野で能力を発揮するプログラムの開発、メンテナンスの終了、既存事業の売却、不要となた設備資産の売却する
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− | == これまでの事業をクロージングすることで新たな市場を創造する戦略を考える ==
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− | 既存の市場が衰退して縮小してくると、一刻も早く新たな事業に方向転換し、既存事業のリソースを縮小させて新たな事業に振り向けて集中させたくなる。しかし、新たな事業分野へのリソースの投入ばかりに気をとられてしまうと、既存顧客を失うリスクもあり、せっかく構築してきたブランド価値をも失い兼ねない。しかし、本来は、景気の動向(今の状況というよりは景気判断(基調))と自社の財政状況の兼ね合いで、物・人・金へのリソースの投入の仕方を判断して、その選択肢の中で、スムーズに既存市場から新市場への移行できるように、「需要が減少して供給過剰となった市場の再編成か、市場の再編成を見限り新事業への転換かを適切な時期に判断する」「新規事業に転換することでブランド価値を高める」「既存事業からの撤退に際して、愛顧客の離散防止と新規顧客の獲得、既存事業の雇用の転換、人材が新分野で能力を発揮するプログラムの開発、メンテナンスの終了、既存事業の売却、不要となた設備資産の売却する」について、取り得る最善の策を打っていくことが必要となる。
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− | === 好景気の経済環境で、かつ、自社の財政も潤沢である場合 ===
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− | *<strong> 物的資源に関する戦略</strong> 新事業への設備の転換、既存事業に対する設備の集約統合(縮小)、新事業への生産体制の早期確立、新事業への販売拠点の再編、新事業への販売促進の転換
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− | *<strong> 人的資源に関わる戦略</strong> 新事業への人員の配置異動、新分野への業績目標の転換、新事業への報奨制度の早期見直し、教育・研修プログラムの多分野・基礎教育への拡大
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− | *<strong> 財務戦略</strong> 既存事業に関わるコストの削減、既存事業の売却等による新事業開発資金の調達
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− | === 好景気の経済環境にあっても自社の財政が逼迫している場合 ===
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− | *<strong> 物的資源に関する戦略</strong> 新事業への選択と集中、新事業への低稼働設備の転用、新事業の生産・販売拠点の生産性向上、新事業への集中的在庫投資と安全在庫のきめ細かい管理、新事業への販促強化
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− | *<strong> 人的資源に関わる戦略</strong> 人材の集中配置(適材適所による生産性向上と余剰人員の配置転換)、内製化の促進(キャッシュアウトの圧縮)、右肩上がりの売上目標管理による業績拡大、教育・研修プログラムの分野の厳選と有効活用
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− | *<strong> 財務戦略</strong> 増資、社債の発行、運転資本回転の高速化、不稼働設備資産の除却、経費削減の強化
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− | === 不景気の経済環境にあっても自社の財政が潤沢である場合 ===
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− | *<strong> 物的資源に関する戦略</strong> 新事業への選択と集中、新事業への低稼働設備の転用、新事業への生産・販売拠点の集約(効率化)、新事業への集中的在庫投資と安全在庫のきめ細かい管理、新事業への販促強化
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− | *<strong> 人的資源に関わる戦略</strong> 人材の集中配置(効率化と原価低減、余剰人員の配置転換)、内製化の促進(キャッシュアウトの圧縮)、利益管理による業績拡大、教育・研修プログラムの直接的効果のある分野への厳選と有効活用
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− | *<strong> 財務戦略</strong> 短期借入から長期借入への組替え、運転資本回転の管理厳格化、遊休稼働設備資産の売却
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− | === 不景気の経済環境で、かつ、自社の財政も逼迫している場合 ===
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− | *<strong> 物的資源に関する戦略</strong> 新事業への選択と集中、既存事業の低稼働設備の早期売却、新事業への生産・販売拠点の集約化(削減と売却)、新事業への集中的在庫投資と安全在庫の厳格な管理、新事業商品への販促厳選
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− | *<strong> 人的資源に関わる戦略</strong> 人材の集中配置(コスト削減)、転籍等、利益管理による業績拡大、直接的効果のある教育・研修プログラムにのみ集中
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− | *<strong> 財務戦略</strong> 剰余金の取り崩し、運転資本回転の管理厳格化、きめ細かい流動性の管理(安全余裕の確保)、低稼働設備資産の売却、経営目標として展開する経費削減
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