「Fluctuation factors characteristic of individual business processes」の版間の差分
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+ | = 個々の業務プロセスが持つ難易度等の固有の変動要因とその論点 = | ||
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+ | 個々の業務プロセスが持つ難易度等の固有の変動要因について掘り下げる上で、共通に認識しておかなければならない論点がある。 | ||
+ | *社会、市場は、常に急速に多様に、変化している。どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。 | ||
+ | *高度化、複雑化が進んでいくとそのプロセスも難しくなり専門化が進む。専門化が進むと独占化が進む。組織の中にある独占化は、組織全体としての持続可能な発展を阻害する。 | ||
+ | *どんなに高度化、複雑化しても、事業として成り立たせるためには、誰もが同程度に習熟可能であり、かつ、所定のレベルで正確に効率良く成果物を提供出来る様にプロセスをデザインしなければならない。 | ||
+ | また、業務プロセスを阻害する要因があるとして、その背景には以下の理由が潜んでいると考えられる。 | ||
+ | *[高度化と難解化] | ||
+ | **高度化することで考えるべき要素が増大し、要素間の関係も組合せ論的に爆発的に増大する。 | ||
+ | *[複雑化とエントロピー増大則] | ||
+ | **何事も、最初はある秩序の元で整然としても、やがてはその秩序は破られ、絡み合い複雑化していく。 | ||
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+ | == もし、個々の業務プロセスを拒む壁があるとすれば、それはどういうことか == | ||
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+ | === 作業が個人の能力に依存していて規定できない === | ||
+ | *<strong>“作業が個人の能力に依存し規定できない”とは</strong> | ||
+ | **大量消費、大量生産、大量消費の時代には画一的な製品を提供するために、現場作業者にいちいち考えて判断させることなく、単純作業化することにより高効率・高品質・低コストを実現することが第一の優先事項として求められていた。 | ||
+ | **社会が成熟化し一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すことが要求される様になってくると、顧客と直接向き合っている現場で、何をすべきか考え、自己裁量で判断して、その場で実行することが求められる。 | ||
+ | **しかし、その一方で、現代は時間に追わている時代でもある。誰も、ゆっくり待ってはくれない。誰もが、時間的な余裕を得るために急ぐのである。そして、競合他社も、少しでも早く顧客の求めるものを提供するために時間を競うのである。 | ||
+ | **“考える力(思考力)”をつけることが求められることと同時に、高効率(短時間)・高品質・低コストを図ることが求められている。 | ||
+ | **考えて判断し、高効率(短時間)・高品質・低コストな作業に対応できる人は、元々のスキルの高さ、成功と失敗の経験を通した勘、作業に対する習熟が必要であり、どうしても属人的に依存した作業となってしまう。 | ||
+ | *<strong>“作業が個人の能力に依存し規定できない” の論点(捉え方の軸と筋道)</strong> | ||
+ | **一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すには、技術の高度化と同時に、高度にデザインされたサービス商品の提供が必要になる。そしてそのためには、様々な商品(モノ)を複合させたプラットフォームとしての商品の提供も必要になってくる。 | ||
+ | **こうした多様な商品を提供するプロセスは高度化、複雑化したものとなり“難解な作業”となる。 | ||
+ | **しかし、顧客には“難解な作業である(考える作業)”ことを感じさせず提供できる様にすることが差別化要因として競争優位性にもなる。逆に、その実現が出来なければ、競争優位性を失い、企業としての存続も危うくなる。 | ||
+ | *<strong>“作業が個人の能力に依存し規定できない”理由</strong> | ||
+ | **高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“難解な作業になる(考える作業)”ことは屡々生じる。 | ||
+ | **最初は整理されて解り易いものでも、様々な改良や拡張を繰り返すうちに、次第に色々な思想が絡み合って難解になっていく。バージョンアップを繰り返して成長させてきた商品に対する作業は、“難解な作業になる(考える作業)”ことは屡々生じる。 | ||
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+ | == 個々の業務プロセスを拒む壁を打ち破る、標準化の促進要因 == | ||
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+ | === 精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る === | ||
+ | *<strong>何故、“精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“難解な作業である(考える作業)”ことをあげることができる。 | ||
+ | **最近、色々なシーンで“わかりやすい”という発言が目立つ。 | ||
+ | ***“難解”(解釈しにくいこと。分かりにくいこと。広辞苑第六版) | ||
+ | ***“単純”(単一で他の要素のないこと。そのものばかりであること。また、構造・機能・考え方などが複雑でないこと。こみいってないこと。簡単。広辞苑第六版) | ||
+ | ***“簡単”(こみいっていないこと。てがるなこと。てみじか。広辞苑第六版) | ||
+ | ***“わかりやすい”(理解するのが簡単である。また、見つけるのがたやすい。広辞苑第六版) | ||
+ | **“難しい作業”と“複雑な作業”は異なる。 | ||
+ | ***“難しい作業”は、動作と思考を同時に伴う作業である | ||
+ | ***“精密”(くわしくこまかいこと。こまかい点にまで注意がおよんでいること。広辞苑第六版)な作業 | ||
+ | ***“緻密”(きめ・細工がこまかいこと。念入りで手落ちがないこと。広辞苑第六版)な作業 | ||
+ | ***特殊な操作がいる作業(特殊な作業を習得するために相当の訓練と周辺知識が必要なこと) | ||
+ | ***“勘と経験で判断がいる作業 | ||
+ | ***作業に関する知識を理解し、かつ、自分で状況判断しながら知恵を働かせることで実施する作業 | ||
+ | ***“複雑な作業”は、作業を分解し簡素化を図ることができる。また、分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担することもできる。 | ||
+ | **“精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る”と、それ自体が差別化要因となりうる。 | ||
+ | **“精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る”には、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。 | ||
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+ | === 作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る === | ||
+ | *<strong>何故、“作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“間違え易い作業である”ことをあげることができる。 | ||
+ | **“間違え易い作業である”の要因としては、以下のことが考えられる | ||
+ | ***あれこれ考える作業である | ||
+ | ***記憶しながらの作業である | ||
+ | ***細かい作業である | ||
+ | ***手数が多い作業である | ||
+ | ***手順が入り組んだ作業である | ||
+ | ***類似した作業が沢山ある | ||
+ | ***作業場所が雑然としている | ||
+ | ***集中できない環境である 等 | ||
+ | **“間違え易い作業”は、作業を分解し簡素化を図り、また、作業に対する理解を深め、習熟化を図ることで改善できる。また、分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担することもできる。 | ||
+ | **“作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る”と、当たり前品質の確保であり、それ自体は差別化要因とはなりえない。 | ||
+ | **“作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る”には、その分野への動機づけをして、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し、能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。 | ||
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+ | === 全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する === | ||
+ | *<strong>何故、“全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“手数の多い作業である”ことをあげることができる。 | ||
+ | **“手数の多い作業”となってしまう要因として以下のことが想定される。 | ||
+ | ***一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すこと、及び、技術の高度化によって作業は難解で複雑になってきている。 | ||
+ | ***しかし、一度にあれこれしようと一つの工程に作業を詰め込んでしまうと、手数(それに施すべき手段の数。てすう。広辞苑第六版)の多い作業となってしまう。 | ||
+ | **全体工程としての“流れ(整流化:待ちが無く、逆流もなく)”、“段取り”、“動作の時間”、“負荷” 等のバランスで、個々の工程で何を行うかをデザインしなければならない。 | ||
+ | ***作業を分解し簡素化を図る | ||
+ | ***作業に対する理解を深め、習熟化を図ることで改善する。 | ||
+ | ***分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担する | ||
+ | **“全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する”とは、効率向上のためであり、それ自体は差別化要因とはなりえない。 | ||
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+ | === 周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する === | ||
+ | *<strong>何故、“周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“繊細に気遣う作業である”ことをあげることができる。 | ||
+ | **“繊細に気遣う作業”となってしまう要因として以下のことが想定される。 | ||
+ | ***様々な関係する“もの”“こと”に対する“きめ細かい”(こまかな点にまで配慮がゆきとどいている。広辞苑第六版)気遣いをしながら関係性やバランスの維持をしなければならない作業である | ||
+ | ***様々な関係する人達に対する“きめ細かい”(こまかな点にまで配慮がゆきとどいている。広辞苑第六版)気遣いをしながら関係を調整しなければならない作業である | ||
+ | **“繊細に気遣う作業”は“精密な作業”と類似している。しかし、人間関係で“繊細に気遣う”のであれば、極力排除しなければならない。 | ||
+ | **“周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する”とは、それ自体が差別化要因となりうる。 | ||
+ | **繊細に気遣う作業を緻密にこなせるようにするには、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。 | ||
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+ | === 大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする === | ||
+ | *<strong>何故、“大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“大規模・広範囲で手に負えない作業である”ことをあげることができる。 | ||
+ | **“大規模・広範囲で手に負えない作業である”となってしまう要因として以下のことが想定される。 | ||
+ | **多様な商品を組み合わせて提供するプロセスは“大規模・広範囲で手に負えない作業”となる可能性がある。 | ||
+ | **高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“大規模・広範囲で手に負えない作業である” となる可能性がある。 | ||
+ | ***“大規模・広範囲で手に負えない作業”は“繊細に気遣う作業”と類似しているが、更には、“高度の広範な知識と能力”“高度の広範な経験と習熟”が要求される。また、自社にとどまらず、マーケティング、販売、プロジェクトマネジメント、調達、生産に関わる人脈を持つことが必要にもなる。これらは一人ではなく、“チームワークで成し遂げられる”ことが求められる。 | ||
+ | ***“大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする”とは、それ自体が差別化要因となりうる。 | ||
+ | ***“大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする”には、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げること、チームとしての取り組みができるようにしなければならない。 | ||
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+ | === 外部の専門機関を活用して業務を成し遂げられるようにする === | ||
+ | *<strong>何故、“外部の専門機関を活用して業務を成し遂げられるようにする” のか</strong> | ||
+ | **“作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“企業の枠を越えている作業である”ことをあげることができる。 | ||
+ | **“企業の枠を越えている作業である”となってしまう要因として以下のことが想定される。 | ||
+ | ***多様な商品を組み合わせて提供するプロセスは“企業の枠を越えた作業”となる可能性がある。 | ||
+ | ***高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“企業の枠を越えた作業” となる可能性がある。 | ||
+ | ***自社のリソースにない専門知識や特殊な技能が必要な作業は“企業の枠を越えた作業”となる。 | ||
+ | ***自社のリソースではこなせない作業(量的、時間的なボトルネックがある)は“企業の枠を越えた作業”となる。 | ||
+ | ***自社で内製してもコアスキルを蓄積することがない作業、他の企業が安価に提供している作業は、業務のアウトソーシング(業務の外部委託。広辞苑第六版)をすることになる(厳密には、“個人・企業の枠を越えている作業”と言うことはできない)。 | ||
+ | **“個人・企業の枠を越えている作業”は“大規模・広範囲な仕事”と同様であるが、特に、内製ではできないことを実現しなければならない場合である。 | ||
+ | **“外部の専門機関を使って仕事を成し遂げられるようにする”とは、それ自体が差別化要因となりうる。 | ||
+ | **“外部の専門機関を使って仕事を成し遂げられるようにする”には、特に、社外の人脈と協働しての取り組みができるようにしなければならない。その実現には、素養がありその分野に動機づけされる人、その作業への知識、経験、能力、習熟している人を育てる必要がある。 | ||
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2014年12月25日 (木) 19:43時点における版
ここでは、個々の業務プロセスが固有に持つ難易度等について掘り下げ、変動要因として捉えて参ります。
目次
個々の業務プロセスが持つ難易度等の固有の変動要因とその論点
個々の業務プロセスが持つ難易度等の固有の変動要因について掘り下げる上で、共通に認識しておかなければならない論点がある。
- 社会、市場は、常に急速に多様に、変化している。どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。
- 高度化、複雑化が進んでいくとそのプロセスも難しくなり専門化が進む。専門化が進むと独占化が進む。組織の中にある独占化は、組織全体としての持続可能な発展を阻害する。
- どんなに高度化、複雑化しても、事業として成り立たせるためには、誰もが同程度に習熟可能であり、かつ、所定のレベルで正確に効率良く成果物を提供出来る様にプロセスをデザインしなければならない。
また、業務プロセスを阻害する要因があるとして、その背景には以下の理由が潜んでいると考えられる。
- [高度化と難解化]
- 高度化することで考えるべき要素が増大し、要素間の関係も組合せ論的に爆発的に増大する。
- [複雑化とエントロピー増大則]
- 何事も、最初はある秩序の元で整然としても、やがてはその秩序は破られ、絡み合い複雑化していく。
もし、個々の業務プロセスを拒む壁があるとすれば、それはどういうことか
作業が個人の能力に依存していて規定できない
- “作業が個人の能力に依存し規定できない”とは
- 大量消費、大量生産、大量消費の時代には画一的な製品を提供するために、現場作業者にいちいち考えて判断させることなく、単純作業化することにより高効率・高品質・低コストを実現することが第一の優先事項として求められていた。
- 社会が成熟化し一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すことが要求される様になってくると、顧客と直接向き合っている現場で、何をすべきか考え、自己裁量で判断して、その場で実行することが求められる。
- しかし、その一方で、現代は時間に追わている時代でもある。誰も、ゆっくり待ってはくれない。誰もが、時間的な余裕を得るために急ぐのである。そして、競合他社も、少しでも早く顧客の求めるものを提供するために時間を競うのである。
- “考える力(思考力)”をつけることが求められることと同時に、高効率(短時間)・高品質・低コストを図ることが求められている。
- 考えて判断し、高効率(短時間)・高品質・低コストな作業に対応できる人は、元々のスキルの高さ、成功と失敗の経験を通した勘、作業に対する習熟が必要であり、どうしても属人的に依存した作業となってしまう。
- “作業が個人の能力に依存し規定できない” の論点(捉え方の軸と筋道)
- 一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すには、技術の高度化と同時に、高度にデザインされたサービス商品の提供が必要になる。そしてそのためには、様々な商品(モノ)を複合させたプラットフォームとしての商品の提供も必要になってくる。
- こうした多様な商品を提供するプロセスは高度化、複雑化したものとなり“難解な作業”となる。
- しかし、顧客には“難解な作業である(考える作業)”ことを感じさせず提供できる様にすることが差別化要因として競争優位性にもなる。逆に、その実現が出来なければ、競争優位性を失い、企業としての存続も危うくなる。
- “作業が個人の能力に依存し規定できない”理由
- 高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“難解な作業になる(考える作業)”ことは屡々生じる。
- 最初は整理されて解り易いものでも、様々な改良や拡張を繰り返すうちに、次第に色々な思想が絡み合って難解になっていく。バージョンアップを繰り返して成長させてきた商品に対する作業は、“難解な作業になる(考える作業)”ことは屡々生じる。
個々の業務プロセスを拒む壁を打ち破る、標準化の促進要因
精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る
- 何故、“精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“難解な作業である(考える作業)”ことをあげることができる。
- 最近、色々なシーンで“わかりやすい”という発言が目立つ。
- “難解”(解釈しにくいこと。分かりにくいこと。広辞苑第六版)
- “単純”(単一で他の要素のないこと。そのものばかりであること。また、構造・機能・考え方などが複雑でないこと。こみいってないこと。簡単。広辞苑第六版)
- “簡単”(こみいっていないこと。てがるなこと。てみじか。広辞苑第六版)
- “わかりやすい”(理解するのが簡単である。また、見つけるのがたやすい。広辞苑第六版)
- “難しい作業”と“複雑な作業”は異なる。
- “難しい作業”は、動作と思考を同時に伴う作業である
- “精密”(くわしくこまかいこと。こまかい点にまで注意がおよんでいること。広辞苑第六版)な作業
- “緻密”(きめ・細工がこまかいこと。念入りで手落ちがないこと。広辞苑第六版)な作業
- 特殊な操作がいる作業(特殊な作業を習得するために相当の訓練と周辺知識が必要なこと)
- “勘と経験で判断がいる作業
- 作業に関する知識を理解し、かつ、自分で状況判断しながら知恵を働かせることで実施する作業
- “複雑な作業”は、作業を分解し簡素化を図ることができる。また、分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担することもできる。
- “精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る”と、それ自体が差別化要因となりうる。
- “精密、緻密、特殊作業の専門職の保護と育成、自動化を図る”には、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。
作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る
- 何故、“作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“間違え易い作業である”ことをあげることができる。
- “間違え易い作業である”の要因としては、以下のことが考えられる
- あれこれ考える作業である
- 記憶しながらの作業である
- 細かい作業である
- 手数が多い作業である
- 手順が入り組んだ作業である
- 類似した作業が沢山ある
- 作業場所が雑然としている
- 集中できない環境である 等
- “間違え易い作業”は、作業を分解し簡素化を図り、また、作業に対する理解を深め、習熟化を図ることで改善できる。また、分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担することもできる。
- “作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る”と、当たり前品質の確保であり、それ自体は差別化要因とはなりえない。
- “作業を分解し簡素化を図り、作業に対する理解を深め習熟化を図る”には、その分野への動機づけをして、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し、能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。
全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する
- 何故、“全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“手数の多い作業である”ことをあげることができる。
- “手数の多い作業”となってしまう要因として以下のことが想定される。
- 一人ひとりの個性に合わせた多様なニーズを満すこと、及び、技術の高度化によって作業は難解で複雑になってきている。
- しかし、一度にあれこれしようと一つの工程に作業を詰め込んでしまうと、手数(それに施すべき手段の数。てすう。広辞苑第六版)の多い作業となってしまう。
- 全体工程としての“流れ(整流化:待ちが無く、逆流もなく)”、“段取り”、“動作の時間”、“負荷” 等のバランスで、個々の工程で何を行うかをデザインしなければならない。
- 作業を分解し簡素化を図る
- 作業に対する理解を深め、習熟化を図ることで改善する。
- 分解した作業を簡素化させた上で、負荷のかかっていない他者に習熟させて分担する
- “全体工程とのバランスを図りながら、個々の工程で行うべき作業を再設計する”とは、効率向上のためであり、それ自体は差別化要因とはなりえない。
周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する
- 何故、“周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“繊細に気遣う作業である”ことをあげることができる。
- “繊細に気遣う作業”となってしまう要因として以下のことが想定される。
- 様々な関係する“もの”“こと”に対する“きめ細かい”(こまかな点にまで配慮がゆきとどいている。広辞苑第六版)気遣いをしながら関係性やバランスの維持をしなければならない作業である
- 様々な関係する人達に対する“きめ細かい”(こまかな点にまで配慮がゆきとどいている。広辞苑第六版)気遣いをしながら関係を調整しなければならない作業である
- “繊細に気遣う作業”は“精密な作業”と類似している。しかし、人間関係で“繊細に気遣う”のであれば、極力排除しなければならない。
- “周囲の環境、関係する工程や関係者に気遣いながら緻密に作業をこなす人材を大切し育成する”とは、それ自体が差別化要因となりうる。
- 繊細に気遣う作業を緻密にこなせるようにするには、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げることができるようにしなければならない。
大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする
- 何故、“大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“大規模・広範囲で手に負えない作業である”ことをあげることができる。
- “大規模・広範囲で手に負えない作業である”となってしまう要因として以下のことが想定される。
- 多様な商品を組み合わせて提供するプロセスは“大規模・広範囲で手に負えない作業”となる可能性がある。
- 高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“大規模・広範囲で手に負えない作業である” となる可能性がある。
- “大規模・広範囲で手に負えない作業”は“繊細に気遣う作業”と類似しているが、更には、“高度の広範な知識と能力”“高度の広範な経験と習熟”が要求される。また、自社にとどまらず、マーケティング、販売、プロジェクトマネジメント、調達、生産に関わる人脈を持つことが必要にもなる。これらは一人ではなく、“チームワークで成し遂げられる”ことが求められる。
- “大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする”とは、それ自体が差別化要因となりうる。
- “大規模・広範囲な仕事であっても役割を分担し、チームワークで成し遂げられるようにする”には、素養がありその分野に動機づけされる人に対して、その作業への知識を提供し、経験を積めるように機会を提供し能力を高め習熟度を上げること、チームとしての取り組みができるようにしなければならない。
外部の専門機関を活用して業務を成し遂げられるようにする
- 何故、“外部の専門機関を活用して業務を成し遂げられるようにする” のか
- “作業が個人の能力に依存して組織内で規定されない”ことの要因として、“企業の枠を越えている作業である”ことをあげることができる。
- “企業の枠を越えている作業である”となってしまう要因として以下のことが想定される。
- 多様な商品を組み合わせて提供するプロセスは“企業の枠を越えた作業”となる可能性がある。
- 高度化した製品を生産するプロセス、高度なサービスを提供するためのプロセスは“企業の枠を越えた作業” となる可能性がある。
- 自社のリソースにない専門知識や特殊な技能が必要な作業は“企業の枠を越えた作業”となる。
- 自社のリソースではこなせない作業(量的、時間的なボトルネックがある)は“企業の枠を越えた作業”となる。
- 自社で内製してもコアスキルを蓄積することがない作業、他の企業が安価に提供している作業は、業務のアウトソーシング(業務の外部委託。広辞苑第六版)をすることになる(厳密には、“個人・企業の枠を越えている作業”と言うことはできない)。
- “個人・企業の枠を越えている作業”は“大規模・広範囲な仕事”と同様であるが、特に、内製ではできないことを実現しなければならない場合である。
- “外部の専門機関を使って仕事を成し遂げられるようにする”とは、それ自体が差別化要因となりうる。
- “外部の専門機関を使って仕事を成し遂げられるようにする”には、特に、社外の人脈と協働しての取り組みができるようにしなければならない。その実現には、素養がありその分野に動機づけされる人、その作業への知識、経験、能力、習熟している人を育てる必要がある。